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現代版ノアの方舟「冷凍動物園」設置へ
2015年02月09日 09時32分、
パネル討論では、動物園・水族館が抱える課題について意見を交わした
希少動物の生殖細胞を凍結し、絶滅から救う「冷凍動物園」が2015年度にも、仙台市八木山動物公園(太白区)内に設置されることが15-2-7日、分かった。
公益社団法人・日本動物園水族館協会(JAZA、東京都)主催のシンポジウム内で、関係者が明らかにした。減少傾向が続く生き物の国内繁殖を目指し、野生での絶滅にも備える試みで、現代版「ノアの方舟はこぶね」として期待されている。
冷凍動物園は、生き物の生殖細胞を採取し、凍結して保存したり、解凍後に人工授精させたりする仕組み。JAZAは現在、神戸市と横浜市の2か所に、生殖細胞を保存する液体窒素のタンクを設置している。地理的な条件を考慮し、3か所目として仙台市を選んだ。アフリカゾウの人工授精など、高い繁殖技術を持つ八木山動物公園内にタンクを設ける。
JAZAが種の保存を進める背景には、「動物園から希少動物がいなくなる」との危機感がある。飼育動物は高齢化が進んでいるが、ワシントン条約で取引を規制され、輸入は年々難しくなっている。
こうした現状や課題について市民に考えてもらおうと、7日に仙台市内で開かれたシンポジウムは、「いのちの博物館の実現に向けて」と題して行われた。
パネル討論では、木下直之・東大教授(文化資源学)が「動物園や水族館は命について考える場であり、環境教育の拠点」と主張。一方で、動物園、水族館の理念や目的を明確にした法律がない点を指摘し、「教育施設か、娯楽施設なのか。社会の中での位置づけを考え直す時期に来ている」との認識を示した。
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