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中国の鳥インフルで日本も緊張広がる
中国で鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)の感染者が相次ぎ、日本国内でもじわりと緊張が広がってきた。悪影響を懸念する旅行業者、大規模検疫に備える検疫所。医療機関は静かに情報収集を進めながらも「流行すれば迅速に対応する」とし、事態の推移を注視する。
阪急交通社(大阪市)では、中国・上海市への旅行客に、現地では放し飼いの鳥や、死んだ鳥との接触を避け、手洗いやうがいに努めるよう呼びかけを始めた。広報担当者は、鳥インフルエンザにかかわる最新の情報を客に伝えることで「安心して旅行してもらいたい」とアピールする。
「アベノミクスで旅行需要が増えると期待していたのだが…」と肩を落とすのは、ある中国旅行専門会社の60代男性社長。尖閣諸島問題やPM2・5による大気汚染などで売り上げが鈍る中、今回の鳥インフルエンザ問題が降ってきた。「事態が発展すれば完全にお手上げ。経営にかかわる」と弱った声で話した。
一方、09年の新型インフルエンザ流行時、初の国内感染例が確認された神戸市の医師会は4日、市内の医療機関約1500カ所に緊急通知を出し、中国渡航歴のある人がインフルエンザの症状で受診してきた場合には速やかに保健所へ連絡するよう求めた。本庄昭会長は「国内で流行の危険が出てくれば迅速に対応しなければ」と神経をとがらせる。現状は静かに情報収集を進めるという。
「不用意に動物に近寄らない」「積極的に手洗いやうがいを」。厚生労働省は全国の検疫所に大判ポスターを送った。成田空港検疫所によると、検査場など9カ所に掲示、大規模な機内検疫へと発展した際に備え、防護服やマスク、体温計などの備蓄状況を確認している。関西空港検疫所では、男性職員が「動きがあった際に速やかに対応できるよう心の準備だけはしている」と身構えている。
[2013年4月7日9時30分]
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