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県立みなと高等学園の開校準備に奔走する県教委特別支援教育課長 冨樫敏彦(とがしとしひこ)さん
2012/1/13 10:10
発達障害のある生徒の社会的・職業的自立を目指し、専門教育を行う全国初の特別支援学校。昨年11月には初代校長に就任、4月の開校に向け、担当課長としてだけでなく、現場のトップとしても、指揮を執る。
教諭となって30年。「教師人生の中心軸は障害児教育」と言い切る。手本のない試みに重責を感じつつ、蓄積した知識、経験が生かせるみなと学園は、教師として与えられた最高の場所と考えている。「徳島の発達障害児教育の拠点にしたい」と力を込める。
高校2年のとき、徳島駅前の書店で手にした筋ジストロフィー患者の写真集に衝撃を受けた。「障害のある人と共に、人の生き方について一緒に考える教師になる」。そう決意し、徳島大学教育学部に進学した。
1981年、徳島大付属養護学校での勤務初日、パニックになった自閉症の生徒の対応に戸惑った。以来、発達障害児に効果的な指導法を研究し実践。遊具を使った治療教育「感覚統合指導」などの研究論文をまとめ、放課後や休日を使って徳島大医学部でも専攻生として知識を深めた努力家だ。
板野支援学校長時代、校歌が気になった。聞こえるのは教職員の声ばかり。「苦難の道」「試練の日々」といった歌詞を「笑顔を輝かせながら歩む」などと替え、歌の苦手な児童生徒も手をたたきたくなる明るい曲調に改めた。みなと学園の校歌も、生徒に愛されるものに、と思案中。
「見た目は教師然としていないが、常に子どもたちの視点で教育の充実を考えている」というのが周囲の評。座右の銘の通り「ひたすらに、ただひたすらに」と、開校準備にいそしむ。
趣味は料理で、最近はそば打ちにはまっている。「もちろん、年越しそばも手作りです」。徳島市八万町の自宅で妻、娘2人との4人暮らし。56歳。
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