石原氏「殴ってでも」橋下氏を国政へ

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石原氏「殴ってでも」橋下氏を国政へ

新代表に決まった石原慎太郎氏（左）と代表代行に就任する橋下徹氏（右）（共同）

　日本維新の会代表の橋下徹大阪市長（４３）と、太陽の党の石原慎太郎共同代表（８０）が12-11-１７日、大阪市内で、共同会見し、正式に太陽の党を解党して日本維新へ合流することを発表した。代表には石原氏、代表代行に橋下氏が就任。１２月４日の衆院選公示に向け候補者擁立作業を進める。会見で石原氏は自身を「ワンポイントの先発」とし、いずれは橋下氏を「殴ってでも（国政を）やらせる。（鎌倉幕府を開いた）頼朝にしなきゃいけないんだ」と、独自の言葉で後継指名した。

　民主、自民両党に対抗する「第三極」結集に向け奔走していた石原氏と、途中、離別かと思われた橋下氏が並んで記者会見した。この日は、維新の会衆院選１次公認候補の選抜を終え、全体会議を経ての会見。石原氏は全体会議にも出席し、会見冒頭では「暴走老人の石原です」とあいさつ。笑いの本場・大阪で“つかみはＯＫ”とばかりに、爆笑で維新代表デビューした。

　片や、橋下氏が維新議員に飛ばしたゲキはいつもより控えめ。政界の大先輩をのみ込んでの吸収合併への配慮もかいま見えた。

　両者が並ぶと、まるで父と息子。石原氏は「第三極じゃだめ、第二極だ。この国はこのままでは危ない。何とかしてくれというのが民意だ。自民、公明両党の政権では駄目になる」と述べ、衆院選への決意を表明。中央集権の打破、消費税の地方税化など、各自治体の強化を掲げる橋下氏の政策との一致を強調した。

　そして、石原氏は「この人は義経だ。私は弁慶。でも（有能でも悲運の）義経のまま終わらせちゃいけない。（鎌倉幕府を開いた）頼朝にしなきゃいけない」。隣の息子にハッパをかけた。

　国政進出には慎重な橋下氏も笑顔で「いや…市長ですから、それは」と、まんざらでもない様子。石原氏は、来年夏の参院選を含めた今後の国政選挙に「引っ張り出す。それをしなければ（石原氏が）責任の履行にならない。殴ってでもやらせる」とたたみかけた。

　石原氏は、橋下氏を後継指名したが、一方では、消費税増税や原発について、これまで太陽の党と日本維新の会は政策が合致していたわけではなかった。野田首相が「野合だ」と批判したことについて、石原、橋下両氏は他党と比べて「われわれは考え方の振り幅が一番小さい」と反論した。

　さらに橋下氏は「食べ物や女性の趣味まで同じになるようなことはない。北朝鮮じゃないんですから、あり得ない」と、協議を重ねての政策一致だとアピール。橋下氏の“暴走モード”も石原氏は終始、頼もしそうに見つめた。

　橋下氏をめぐっては、よどみない弁舌、居丈高な振る舞い、徹底した「競争政策」から独裁と称される。ただ、その裏では柔らかいトーンの大阪弁、目尻を下げた親しみやすい笑顔のギャップがあり、天性の人たらしとも。人たらしの天才が、ついに石原氏をも取り込んだ。【村上久美子】

　［2012年11月18日8時59分］