円、81円台前半＝日銀の追加緩和期待で下落加速

邓文龙

円、81円台前半＝日銀の追加緩和期待で下落加速〔NY外為〕（15日）

時事通信 11月16日(金)8時0分配信

　【ニューヨーク時事】15日のニューヨーク外国為替市場の円相場は、日銀の追加緩和への期待から下落が進み、一時1ドル＝81円46銭と、約6カ月半ぶりの安値まで下落した。午後5時現在は1ドル＝81円11～21銭と、前日同時刻（80円19～29銭）比92銭の円安・ドル高。
　野田佳彦首相が14日に衆議院解散を表明したことを機に、円売り地合いが急速に強まった。12月の総選挙で自民党が政権を奪回するとの見方が強まる中、円は同党の安倍晋三総裁が無制限の金融緩和を求めていることを材料に下落。対ユーロでも1ユーロ＝104円00銭と、2週間ぶりに104円台まで値を下げた。
　円相場については、「19日から開かれる日銀の金融政策決定会合での金融緩和への期待感が目先にあり、その後も総選挙後の政局の不透明感が残る。そのため、来週の会合後も円の弱地合いは続き、総選挙でどの政党がどれだけ議席を取れるかが見えてくるまではこの弱地合いが続くだろう」（邦銀筋）とみられている。
　ただ、朝方一連の米経済指標が発表される中、米労働省が発表した前週までの新規失業保険申請は43万9000件と、前週比7万8000件増加し、市場予想（ロイター通信調べ）の37万5000件を大幅に上回った。このため、米雇用情勢の軟化を受けて円売り・ドル買いの流れは一服し、円は対ドルで小幅に買い戻された。
　一方、ユーロは対円、対ドルともにやや買い戻された。ただ、ユーロに大きな材料は無く、「ストップ・マーケット（損切り）だった」（同）という。同時刻現在は1ユーロ＝1．2777～2787ドル（前日午後5時は1．2729～2739ドル）、対円では同103円69～79銭（同102円11～21銭）。（了）