|
靴の同じ側がすり減ったら要注意 変形性膝関節症(3)
★変形性膝関節症(3)
2014.08.10
連載:ドミノ骨折を防げ メタボより怖いロコモ
森田充宏准教授
前回まで生化学工業株式会社(東京)が発表した、変形性膝関節症に悩む人に医療機関への早期受診をすすめる調査結果を紹介した。それを受け、藤田保健衛生大学医学部整形外科学の森田充宏准教授が「変形性膝関節症を正しく知ることから始めよう」という講演をした。
「変形性膝関節症は膝関節の軟骨がすり減り、炎症や関節の変形が起こり、痛みが生じる病気。多くは膝の内側が痛み、症状が強くなっていきます。中高年の膝痛の原因の多くがこの病気ですが、寒くなったせい、トシのせい、病院に行くほどでもないと、見逃されがちで、放置すると軟骨が徐々にすり減って骨がむき出しになり、症状が悪化します」
森田准教授は疾患別の要介護・要支援リスクというデータ(2010年国民生活基礎調査)を示した。脳血管疾患が21・5%で第1位だが、第2位にはロコモが迫り21・1%。その内訳は関節疾患が10・9%で、骨折・転倒が10・2%となっている。第3位は認知症の15・3%。関節疾患は深刻な病気なのである。
果たして、どれだけの患者がいるのか。X線で診断される40歳以上の有症率は男性42・6%、女性62・4%で潜在患者は2530万人と推定される。男性は860万人、女性は1670万人。このうち膝の痛みを伴う割合は、男性が4分の1、女性は3分の1で、有症状患者は800万人と推定される。「自分で気づくことが難しい病気なんです」と、森田准教授。
こんな方は要注意というポイントだけ挙げると、「中高齢者」「肥満」「女性」「筋力低下」「過去の膝のケガ」「O脚」。
初期症状は、立ち上がり、歩き始め、階段の上り下りなど動作開始時に膝の痛みや違和感を覚えるが、しばらく休むと痛みが消える。
中期には、痛みの頻度や強さが増し、簡単には収まらなくなる。歩行時にも痛くなり、特に階段の上り下りがつらくなる。関節がはれ、水がたまる場合もあり、膝が曲がり、伸び切らなくなり、正座やしゃがむ動作が困難になる。
末期はさらに症状が進む。日常生活に支障が出るほどの痛みで、仕事、買い物、旅行などが思うようにできずに活動範囲が狭まる。骨の変形が進み、膝関節のO脚変形が目立つ。
「ひざの上がぼこっとはれたり、水がたまったり、靴の同じ側がすり減ったりしたら要注意。早く対応したほうがいいですね。関節の骨と骨の間の軟骨がすり減って、骨どうしがすれ合って歩けなくなります」
日常生活に支障を来す怖い病気だ。 =次回に続く (木村進)
■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。
http://www.zakzak.co.jp/health/d ... 408100830002-n1.htm
 |
|