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函館を福祉都市に 自閉症対応の国際資格持つ田中さん 26日に討論会
(13-10/04 16:00)シンポジウムで講演する田中桜子さん
シンポジウムで講演する田中桜子さん
【函館】公認行動分析士の国際資格を持つ田中桜子さんが、福祉のまちづくりを支援する会社「グリーンパティオ」を函館市海岸町14で設立した。26日には「国際福祉都市hakodateを語ろう」と題し、同社で国連教育科学文化機関(ユネスコ)に関する討論会を開催する。田中さんは同社での活動を通じ、福祉都市としての函館の可能性を探っていく。
カナダのトロント大、ブリティッシュ・コロンビア大大学院などで学んだ田中さんは哲学博士号を取得し、通訳や翻訳などの仕事をしてきた。その後、息子の自閉症をきっかけに米国・マサチューセッツ大大学院で自閉症の行動療法を学んで2010年に修了。翌11年、行動分析士認定委員会(本部・米国)の国際公認行動分析士資格を取得した。
資格を得てからは米国やカナダで自閉症児関連のワークショップやセミナーなどを開いてきたが、海外生活が約30年となり望郷の思いが強まったこともあり、古里の函館に戻ることを決意。昨年に帰国した後は、自分の経験を生かし、函館を福祉都市にする手伝いをしたいとの思いが強まり、そのための会社としてグリーンパティオを立ち上げた。
その最初のイベントが、この夏に同社スタジオで開いた、函館の未来を話し合うシンポジウム。パネリストに手作りオルガン製作者の谷目基さん、建築家の照井勉さん、公立はこだて未来大教授大場みちこさんの3人を招いた。
この中で、谷目さんは廃材を使う自身のものづくりにふれ「歴史のあるものが未来につながっていくのでは」と指摘。照井さんは市内各所の設計案を示して「福祉、医療、環境のそろった時代のニーズにあったまちづくりを」と提案した。また大場教授は、未来大が取り組む函館の地域情報や歴史資料のオープンデータ化を紹介。災害時の避難所へのデータ提供などの利用例を挙げた。田中さんも、海外での経験や福祉における行動分析学の重要性について説明した。
このシンポジウムで手応えを得た田中さんは今後の活動について「みんながやりたいことを聞いていく。函館には豊かな文化があるのでネットワークを築いていければ」と抱負を語る。自閉症や発達障害、認知症治療に関する活動などのほか、同社で講演会や展示会を企画していく考えだ。
26日に同社で開くユネスコ創造都市ネットワークについての討論会は午後6時から。参加無料だが事前申し込みが必要。申し込みは討論会実行委(電)0138・32・4949へ。(堺麻那)
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