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世界遺産:「富士山」登録決定 「三保松原」含め
毎日 2013年06月22日 17時36分
カンボジアの首都プノンペンで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)第37回世界遺産委員会は22日、日本政府が推薦している「富士山」(山梨、静岡両県)を世界文化遺産に登録することを決めた。山岳信仰や浮世絵など芸術作品の対象として日本文化の象徴的存在が高く評価された。日本の世界遺産は、2011年に登録された小笠原諸島(東京都、自然遺産)と同年の平泉(岩手県、文化遺産)に続き17件目(文化遺産13件、自然遺産4件)となった。今年4月に構成資産から除外するよう勧告されていた国指定の名勝「三保松原」(静岡市)も含めての登録となった。
世界遺産委員会は16日に始まり、21日からは富士山を含む新規案件を審査していた。
富士山は、富士山信仰で聖域とされる標高1500メートル以上の山域やふもとの浅間神社、白糸ノ滝、富士五湖で資産構成されている。07年に日本政府の暫定リストに掲載、12年にユネスコに推薦された。その後、ユネスコの諮問機関「国際記念物遺跡会議(イコモス)」が現地調査を実施。今年4月には富士山から45キロの距離を問題視した三保松原を除外する条件付きで「登録」を勧告した。文化庁や静岡県など地元自治体は「富士山信仰、芸術の源泉の両面から不可分である」などとして、構成資産に含めるよう、世界遺産委員会の各委員国に要望活動を続けていた。
また、イコモス勧告では、開発や土砂流出防止工事による環境への影響を懸念し、16年までに保全状況報告書を提出するよう求めている。山梨、静岡両県では、富士山の入山料の検討を進めているが、環境保全と地域振興のバランスをどのようにして取るのか、議論が続いている。
一方、イコモスが「不登録」を勧告していた「武家の古都・鎌倉」(神奈川県)は、この日までに推薦が取り下げられた。今後、地元自治体を中心に再推薦に向けた方針を検討する。【福田隆、プノンペン樋口淳也】
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