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エボラ熱疑いで男性搬送 リベリア取材、カナダ籍 「万一考え検査」厚労相
発熱した男性が搬送された国立国際医療研究センターに集まった報道陣=27日夜、東京都新宿区
厚生労働省は14-10-27日夜、エボラ出血熱が流行している西アフリカに滞在し、東京・羽田空港に同日午後に到着した40代男性に発熱の症状があり、感染が疑われる患者として新宿区の国立国際医療研究センターに搬送したと発表した。 政府関係者によると、男性はカナダ国籍のジャーナリスト。
感染の有無を判断するため、男性の血液を採取し、国立感染症研究所でウイルスの検査をした。結果は28日未明に判明する見通し。西アフリカのリベリアに 14-8月18日から約2カ月間、エボラ出血熱の取材で 滞在していたが、エボラ熱患者との接触は現在確認されていない。
西アフリカでエボラ熱流行が拡大して以来、日本でエボラ熱が疑われる例が明らかになり、政府が緊急対応したのは初めて。
塩崎恭久厚労相は「冷静に受け止めていただきたい。万一のことを考えて搬送し、検査している」と呼び掛けた。
関係者によると、男性は10日ほど前に西アフリカを出て、ベルギーなど別の国を経由して午後3時35分ごろ、ロンドン発全日空278便で羽田空港に到着。検疫所で滞在歴を自ら申告し、37・8度の熱が確認された。
全日空によると、男性の乗っていた航空機の乗客乗員数は206人。他の乗客への連絡や今後同じ機体を使うかどうかは、厚労省の指示を待って判断する。
海外でのエボラ熱拡大を受け、安倍晋三首相は10-27日午前、官邸に塩崎厚労相を呼び、早期に関係閣僚会議を開催するよう指示。国内で感染者が確認された際の対応強化などを議題に、28日午前に開催することを決めた。
エボラ熱は西アフリカのリベリア、ギニア、シエラレオネで流行しており、感染者は23日までに1万141人、死者は5千人に迫っている。
▼「空気感染しないが…」 病院近隣住民にも不安
リベリアに滞在し、14-10-27日の到着時に微熱があったためエボラ出血熱感染の疑いで隔離された男性は、東京都新宿区の国立国際医療研究センターに搬送された。様子を見に来た住民は「空気感染しないとは聞いているが…」と不安そうに話す。男性が到着した羽田空港は通常の運用が続き、「それほど騒がなくても」と話す利用客もいた。
国立国際医療研究センター正門前には大勢の報道陣が詰め掛けた。センター関係者は「検査中なので何もお答えできない」とだけ話した。
近くに住む無職の男性(78)は「ニュースで知って驚いた。早く事態が収まってくれれば」と落ち着かない様子だった。
午後10時半ごろ、東京都武蔵村山市の国立感染症研究所村山庁舎に、パトカーに先導されたワゴン車が入った。車はマスクを着けた男性が運転していた。
羽田空港の国際線ターミナルの検疫所では、女性職員がリベリアやシエラレオネなど 西アフリカ4カ国 の国名を手に「健康状態に変わりある方はお申し出ください」と呼び掛け、サーモグラフィーによる体温測定も実施。到着客は、次々に検疫所の前を通過していた。
仕事で米サンフランシスコに向かうという三重県伊賀市の会社員 猪田雄平 (いのだ・ゆうへい) さん(36)は、出発ロビーで「検疫所は自己申告。自衛策として何をしたらいいのかも分からない」と不安げな表情。インドネシアのバリ島へ旅行に行く水戸市の会社員 田郡太 (たごおり・ふとし) さん(34)は「日本は医療もしっかりしているので、もし入ってきても感染拡大しないのでは」と話していた。
旅客機の発着に影響は出ておらず、14-10-28日は国際線、国内線いずれも通常通りの見通し。
(共同通信)
2014/10/28 11:19
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