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STAP細胞 論文撤回を提案 共著教授「信用できない」
2014年3月11日 東京新聞朝刊
理化学研究所(理研)の小保方晴子ユニットリーダー(30)らが発表した新たな万能細胞「STAP細胞」の論文について十日、著者の一人の若山照彦山梨大教授が、論文撤回を共著者に対して提案していることが分かった。若山教授は「保存している細胞を第三者機関で分析してもらう」と述べた。小保方氏は神戸市の理研で共著者と撤回も含め対応を協議し、十一日以降に結論を出すとしている。
体の細胞に酸などの刺激を与えると万能細胞になるという論文は、英科学誌ネイチャーに掲載されて大反響を呼んだ。しかし、他の研究室で再現実験ができないうえ、画像の使い回しや過去論文からの複写などの行為が疑われていた。
共著者は他に、理研の笹井芳樹副センター長、丹羽仁史チームリーダー、東京女子医大の大和雅之教授、米ハーバード大のチャールズ・バカンティ教授ら。
若山教授は提供された細胞を使いマウスの実験をした。画像の使い回しについて、当初は「多くの画像の中から選択を誤った。論文を修正する方向だ」と話していた。しかし小保方氏の博士論文と酷似した画像がネイチャー論文にも使われていることが分かり「信用できなくなった。十日午後、メールで撤回を呼び掛けた」と述べた。そのうえで「自分の担当部分は適正に実験が行われたと言い切れる。私はSTAP細胞について真実を知りたい」とした。
神戸市の理研広報担当者は「小保方氏はさまざまな指摘を真摯(しんし)に受け止めている。撤回の可能性はゼロではない」と話した。
STAP細胞 小保方晴子氏らの研究によると、マウスのリンパ球などを弱酸性の溶液につけると、さまざまな組織に発達することのできる万能細胞になり、これをSTAP細胞(刺激惹起=じゃっき=性多能性獲得細胞、Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency cellの略)と名付けた。
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