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自閉症に特化ケアホーム 個性に応じて支援
2013年01月25日
発達障害者を支援するNPO「それいゆ」(伊藤博教理事長)は、自閉症に特化したケアホームを佐賀市高木瀬町に開設した。重度の知的障害と自閉症がある20、30代の男女4人が介護を受けながら共同生活している。人によって特性が異なる障害のため、本人の状況に応じて支援するのが特徴。自閉症に特化したケアホームは県内では珍しく、自尊感情を傷つけずに問題行動を起こさない環境づくりのモデルとして、関係者の注目を集めている。
神埼市千代田町の民家にあったケアホームの老朽化に伴い、13-1月7日に移転オープンした。病院として使われていた平屋建て約180平方メートルを改装、居室6部屋や食堂、事務室などを備えている。
自閉症は騒音や足音を嫌う傾向があり、窓はペアガラス、床や壁にはクッション材を入れた。複数の事柄を同時に処理するのが苦手なため、約6畳の居室は休憩や就寝、着替えなど目的別に仕切った。時間の流れも理解しづらい特性があり、写真を使ったスケジュールを居室に貼り付け、自発的に食事や入浴ができるように工夫している。
本人の認知・感覚レベルを調べ、得意、苦手、こだわりなどを詳しく把握。このデータを基に、習熟度や興味に合わせた作業学習や遊びなどの支援メニューを組み立てる。
コミュニケーションも難しい面があるため、絵や写真カードで意思表示するシステムを採用。食べたい食事や持ってきてほしい道具をカードで職員に伝える。要求がスムーズに伝わることで、問題行動は激減した。
スタッフは指導員、世話人、ヘルパーの4人。サービス管理責任者の黒木麻美さんは「自立をテーマに支援を考え、穏やかに過ごせる環境づくりを心掛けている。安心して預けられる温かい住まいにしたい」と話す。問い合わせはそれいゆ、電話0952(36)8751。
■ケアホーム
夜間や休日に共同生活をする住居で、入浴や排せつ、食事の介護などを行う。保護者の老後や死後、障害当事者が地域で自分らしく暮らせる拠点として期待される。4月施行の障害者総合支援法では、介護を必要としないグループホームと一元化される。県内の両施設は現在、135カ所となっている。
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