中国で日系ブランドが苦戦

长江

中国で日系ブランドが苦戦

2012年 10月 6日  13:56 JST

　【東京】中国の主要都市で行われていた反日デモは収束したものの、日本の自動車メーカーの中国での販売が大幅に減少したり、日中間の旅行需要が急激に鈍化するなど、日系ブランドの苦戦が続いている。

　マツダと三菱自動車は中国での9月の販売台数が急減したと発表した。三菱自動車の5日の発表によると、9月の中国での販売台数は前年同期比62.9％減の2340台となり、8月の3495台より33％減少した。マツダによると、9月の中国での販売台数は前年同期比35％減の1万3258台で、で、8月の1万6539台より20％少なくなった。

　日本航空は5日、9月から11月の期間に中国路線で1万9500席の予約がキャンセルされたと発表した。同社は3つの中国路線の便数を一時的に削減することにしている。

　全日本空輸では10月1日現在、中国路線で4万3000席の予約が取り消された。同社は需要減を受けて、今月16日から31日まで一部の北京便の運航を通常よりも小さい機材で行う。

　日本政府が先月、尖閣諸島を国有化したことをきっかけに、中国国内で反日デモが行われ、一部のデモ隊によって日系企業の工場やショールームが破壊された。尖閣諸島は日本が実効支配しているが、中国も領有権を主張している。日本の自動車メーカーは宣伝活動を中止し、工場を一時閉鎖した。多くの日中文化交流イベントも中止された。

　損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントのシニア・インベストメントマネジャーの菅原繁男氏は「暴動を含めて中国のあのリアクションは誰も想定していなかった」と述べ、不買運動が起きていることで誰もが中国ビジネスのリスクを急速に意識しだしていると指摘した。また、菅原氏は尖閣諸島を巡る対立が「単なる政治的な問題を超えて経済的な影響を無視できなくなってきている」と述べた。

　多くの日系自動車メーカーで、中国での9月の販売台数が急減したとみられている。

　トヨタ自動車は5日、中国の工場での生産を来週再開する予定であることを明らかにした。しかし、9月の販売台数が減少したため、生産のペースはデモ前よりも落とすという。

　日本のメディアは5日、トヨタの中国での9月の販売が8月の半分にとどまったと報じた。8月の販売台数は7万5300台だった。トヨタはまだ正式な販売台数を発表していない 。

　トヨタの広報担当者ディオン・コーベット氏は5日「間違いなく、当社の売上げは影響を受けたが、9日に発表するまで具体的なことは言えない」と述べた。

　日本の自動車メーカーの多くは需要減を見越して、反日デモが最も激しかった先月18日に工場を一時閉鎖した。トヨタは先月26日から中国の大型連休が終わる今月7日まで、2カ所の主要組み立て工場を再び閉鎖した。

　日産自動車は先月27日に中国での乗用車生産を停止した。

　日産の片桐隆夫副社長 は5日、中国での9月の販売台数は減少することが予想されると述べたが、具体的な数字は明らかにしなかった。片桐氏によると、工場は8日に再開する。片桐氏は記者団に対し、中国はまちがいなく、長期的に重要な市場でありつづけると述べた。

　北京にある一部のトヨタのディーラーは先月、顧客に対して、安全が確保されていない場所に車を駐車しないように警告した。また、デモ隊の注目をそらすために車に愛国的なスローガンを貼りつけるよう促していた。