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日立製作所、データを効率的に送受信する新たな通信方式 - IoT分野で活用
マイナビニュース15-5月21日(木)9時41分
日立製作所、データを効率的に送受信する新たな通信方式 - IoT分野で活用
日立製作所は5月20日、データを効率的に送受信してネットワークの負荷を低減する情報指向ネットワーク技術(ICN: Information-Centric Networking)の新たな通信方式を開発したと発表した。
情報指向ネットワーク技術とは、センサーやカメラなどのネットワークに接続された機器から送信されるデータに、識別子と呼ばれるデータを特定するタグを付与することで、効率的にデータの送受信を行う技術。識別子が付与された一つ一つのデータを保存する場所を経路情報として、全通信サーバで共有することで、データの保存場所を意識することなく、識別子を指定するだけでデータを送受信できることが特徴だという。
これにより、データの発信元である機器から近距離のサーバやデータセンターに分散してデータを保存することができ、必要なときにのみ、識別子に基づいて効率的にデータの送受信を行うことで、ネットワークへの負荷を低減することが可能となるという。
一方で、情報指向ネットワーク技術における従来の通信方式では、データの発信元である機器の場所が移動し、データの保存場所が変わる度に、保存場所を示す経路情報をネットワークに接続された全通信サーバ間で共有させる必要があり、経路情報を更新する通信処理が頻繁に発生し、ネットワークに高い負荷がかかることから、特に車載装置など大容量のデータを移動しながら送受信する機器では、情報指向ネットワーク技術の適用は困難とされていた。
そこで日立は、経路情報の共有に伴うネットワークへの負荷を低減するために、データに付与される識別子をグループ単位で纏め、その経路情報を集約ノードと呼ぶ特定の通信サーバに割り当てることで、経路情報が更新された際は、全ての通信サーバではなく特定の集約ノードで更新する、情報指向ネットワーク技術の新たな通信方式を開発した。
本通信方式により、これまで発生していた通信サーバー間で経路情報を共有するための通信回数を大幅に減らし、ネットワークへの負荷を低減できるという。
これにより、従来の通信方式では実現困難とされた、自動車の車載装置やセンサーなどの広範囲を移動する機器から発生する膨大なデータを送受信することができるという。
自動車向けでは、膨大な走行データを活用することで、渋滞緩和や走行支援などの実現が可能となる。
また、今回開発した通信方式は、ネットワークへの負荷を低減できるため、保存されているデータを必要なときに受信するPull型通信のみならず、複数の機器へデータを送信するPush型通信を実現。これにより、情報指向ネットワーク技術においても、リアルタイムにデータの送信ができ、自動車の車々間通信に適用した場合、危険を感知し急な減速をした車の走行データを、リアルタイムにその車の周辺を走る他の車へ送信することで、事故を予防するようなシステムを実現することが可能となるという。
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