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予防接種・ワクチン/ワクチン・予防接種の種類・時期
大人用の肺炎球菌多糖体ワクチンの接種・時期・副作用
肺炎球菌に対するワクチンは日本では2種類あります。主に子供に使用する7価肺炎球菌ワクチンと主に大人に使用する23価肺炎球菌多糖体ワクチンです。今回は、23価肺炎球菌多糖体ワクチンについて説明します。
清益 功浩
この記事の担当ガイド
清益 功浩
法律、経済など多くの資格をもつ現役のアレルギー・小児科医師
肺炎球菌とは
肺炎球菌ワクチンの効果と接種方法で既に説明しましたが、この菌によって起こる病気は下記のとおりです。
気管支炎・肺炎
副鼻腔炎・中耳炎
髄膜炎
骨髄炎(菌が骨の中に入る)
関節炎(菌が関節の中に入る)
敗血症(菌が血液に侵入する)
これらの病気は、子供と65歳以上のお年寄り、免疫不全の方、脾臓を摘出した人、心臓や呼吸器、腎臓などの病気を持っている人、糖尿病などの基礎疾患がある人については、肺炎球菌感染症になりやすく、重症化しやすいです。
また、肺炎球菌には菌の周りを莢膜(きょうまく)という強力な膜があり、その莢膜(きょうまく)は91種類あります。子供の免疫力は強くないために製造の異なる7種類の肺炎球菌をカバーするワクチンがありますが、2歳以上では、23種類の肺炎球菌をカバーするワクチンになります。このワクチンは、2歳未満の子供では予防効果が期待できませんが、成人では、多くの種類の肺炎球菌の感染を予防することができます。
23価肺炎球菌多糖体ワクチン
23価肺炎球菌ワクチン
23価肺炎球菌ワクチンです(MSD提供)
23種類(23価)をカバーできるワクチンで、肺炎球菌を殺菌し、莢膜を取り出して作ったワクチンです。
含まれる型は、1, 2, 3, 4, 5, 6B, 7F, 8, 9N, 9V, 10A, 11A, 12F, 14, 15B, 17F, 18C, 19A, 19F, 20, 22F, 23F, 33Fです。参考までに、小児用肺炎球菌ワクチンに含まれる7価とは、4, 6B, 9V, 14, 18C, 19F, 23Fです。
23価で、日本に存在する肺炎球菌の約80%をカバーできます。
23価肺炎球菌多糖体ワクチンの接種時期
2歳以上で肺炎球菌による感染症が重症化する人です。
脾臓を摘出した人
赤血球の形が鎌状であったり、脾臓の働きが悪い人
心臓や呼吸器の慢性疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD))
腎不全
肝機能障害
糖尿病
上記以外の病気でも感染症がひどくなる可能性のある基礎疾患のある人
65歳以上の高齢者
14日以上先に免疫抑制の治療が予定されていている人
1回0.5mlで、皮下または筋肉内に注射します。効果は約5年と言われています。そのため、5年後に再接種可能です。現時点では、2回以降のデータはないために、今後の課題となっています。
副作用
接種部位の痛み、赤み、腫れです。発熱もありますが、1~2日で消失します。再接種の場合は、初回より接種部位に痛み、腫れ、赤みが強くなります。
インフルエンザに罹った後に、肺炎球菌による肺炎で重症化するために、最近は、高齢者に勧められているワクチンです。
2014年度中に、成人用肺炎球菌ワクチンが定期接種になります。予定では10月からです。対象は、65歳の高齢者と60歳以上で心臓や腎臓、呼吸器などの機能に障害がある場合です。筋肉か皮下に1回0.5mlを注射します。
2012年11月20日
2014年1月15日現在追記
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