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中国、石油掘削を継続 漁船沈没 ベトナムと非難応酬 南シナ海
産経新聞 14-5月28日(水)7時55分配信
【北京=矢板明夫、シンガポール=吉村英輝】中国の大手国有企業、中国海洋石油のグループ会社は5-27日、南シナ海での石油掘削で「第2段階」の作業が始まったと発表した。中国の秦剛報道官は同日の記者会見で「中国の近海で実施している合法で正常な活動だ」と述べた。ベトナムが領有権を主張する南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島付近での掘削活動を継続する意思表示とみられ、両国の対立がさらに長期化しそうだ。
中国国営新華社通信などによると、中国海洋石油は掘削装置を移動させ、新たな地点での調査を始めたと発表した。移動先の地点は明らかにしていないが、ベトナム漁業監視隊は27日、当初の位置から東北東に23カイリ(約43キロ)移動されたとしている。中国海事局によると、「第2段階」の作業は8月15日まで続く見通しだ。
一方、両国政府高官らは、ベトナム漁船が26日にパラセル諸島付近の海域で沈没した問題をめぐり、互いに批判を繰り広げた。
ベトナム外務省のレ・ハイ・ビン報道官は27日、中国漁船が体当たりしてベトナム漁船を沈没させたと改めて主張し、「ベトナムの主権や管轄権を侵害し、南シナ海情勢を一段と複雑化させる行為だ」と述べて中国側を非難、漁民への補償を要求した。ベトナム外務省は同日、ハノイの中国大使館員を呼び、抗議文書を渡した。
一方、新華社通信は27日、「ベトナムの船が中国の船を妨害してぶつかってきた」と伝え、中国側に責任がないことを強調した。秦剛報道官は同日の記者会見で、「事件の直接の原因はベトナム側にある」との立場を主張、一切の妨害活動を停止するようベトナム側に求めた。
ベトナム国営メディアによると、ベトナム漁船1隻が26日、中国の漁船約40隻に囲まれた末、体当たりされて沈没した。
菅義偉(すが・よしひで)官房長官は27日の記者会見で、中国の石油会社が第2段階の掘削作業を開始したことについて「極めて遺憾だ。関係国の緊張を高める一方的な行動を慎むことが必要」と述べた。
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