|
「夢」解読、初の成功 画像再現へ重要な一歩 医学、芸術…応用に期待
2013.4.5 10:35
夢の解読法
人が見た夢の内容を解読することに、国際電気通信基礎技術研究所が世界で初めて成功した。脳の活動を解析することで、7割以上の高い確率で的中させることができた。心理状態の可視化や精神疾患の診断など幅広い応用が期待される。米科学誌サイエンス電子版に4日、掲載された。
今回の研究成果は、多くの人が興味を抱く「夢の再現」に向けた大きな一歩だ。画像化は精度向上など課題は多いが、実現すれば医学や芸術など多様な分野に影響を与えそうだ。
人間はなぜ夢を見るのか、夢は何を意味しているのか-。多くの人が一度は抱いたことがある疑問だ。「夢判断」の著作で知られるフロイトなどの心理学者や脳科学者が解明に挑んできたが、夢の実体は今も謎の部分が多い。
今回の技術を使えば脳活動と合わせて夢の内容を記録でき、科学的な分析が可能になる。沖縄科学技術大学院大の銅谷(どうや)賢治教授(計算神経科学)は「脳科学研究の大きなテーマである睡眠や夢の意味と機能を調べる上で、非常に重要なステップだ。悪夢に悩んでいる人の治療や、いい夢を見る研究につながるかもしれない」と指摘する。
神谷氏らは平成20年、人が実際に見た画像を脳活動から推定し、再現することに成功して脚光を浴びた。夢は見ているときに眼球が動いて視野が変化したり、脳活動を測定するまでの時間差などが影響するため、画像はまだ再現できていない。ただ、脳内に電極を埋め込むなど高精度の手法を使えば再現できる可能性があり、今後実験する方針で、結果が注目されそうだ。(長内洋介、伊藤壽一郎)
|
|