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南海トラフ地震最終報告、避難所利用に優先順位
政府の中央防災会議の作業部会(主査・河田恵昭よしあき関西大教授)は13-5-28日、マグニチュード9級の「南海トラフ巨大地震」対策の最終報告書を公表した。被害が広域かつ甚大で、行政の支援に限界があるため、大勢の被災者が過ごす避難所は、高齢者などを優先的に受け入れる新たな考えを盛り込んだ。日本全体で支援体制を検討することも提言した。また、地震の予知は困難だと指摘し、被害を減らすため、迅速な避難や食料の備蓄など「自助」の必要性も強調している。
南海トラフ巨大地震は最悪の場合、発生後1週間で950万人の避難者が出て、避難所が大幅に不足するとみられる。このため作業部会は、避難所の利用者に優先順位をつける「避難所トリアージ(選別)」という対策を打ち出した。自宅の被害が軽微な被災者には帰宅を促す。政府は今年度中に対策大綱をまとめる。
政府は東日本大震災を教訓に、南海トラフで起こる最大級の地震の被害と対策を検討してきた。震度6弱以上の強い揺れが24府県で起こり、高さ10メートル以上の巨大津波が各地を襲う。昨年8月には死者が最悪で32万3000人、今年3月には220兆3000億円の経済被害が出ると想定した。
これについて作業部会は、地震発生から直ちに高台などに避難を始めれば、津波の死者は23万人から4万6000人に減ると試算。津波避難用のビルやタワー、避難路の整備も求めた。更に、全ての建物が現行の耐震基準を満たすなど事前に対策を講じれば、全体の死者数を6万1000人にまで減らせると強調している。
(2013年5月29日 読売)
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