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1クラスに2~3人も? 特別な存在ではない発達障害に急がれる支援体制
2013/01/31 08:00
他人とのコミュニケーションがとれない、簡単な計算ができない、落ち着きがない、行動が止まらない。「問題児」「変わり者」といわれる子どもの中には、発達障害のある者が少なくないことが医学の発達で明らかになっている。文部科学省の調査によれば、発達障害の可能性がある子どもは小・中学生全体の6.5%に上るという。身近な障害ともいえる発達障害について、教育ジャーナリストの斎藤剛史氏が解説する。
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先天的な脳の器質障害が原因と推定される発達障害には、計算や読み書きの能力に障害がある「学習障害」(LD)、注意力が低く衝動的に行動する「注意欠陥・多動性障害」(ADHD)、知的障害のない自閉症である「高機能自閉症」などがあり、その存在は社会でも広く認識されつつあります。
文科省は2012(平成24)年、3県(岩手・宮城・福島)を除く全国の都道府県から約5万4,000人の小・中学生を抽出し、行動面や学習面の状況を答えた担任教員の回答を点数化して判定する方法で実態調査を実施しました。その結果、特別な教育的支援を必要とする子どもが6.5%と推計されたのです。40人学級なら1クラスに2~3人という計算になります。さらに、こうした子どものうち、学校から何の支援も受けていない子どもが4割近くいることが明らかになりました。支援を必要とする子どもへの充実した対策が強く望まれます。
衝動的行動やコミュニケーションの困難さなど、発達障害に起因するトラブルは、子どもの間でも大きな問題になる可能性があります。障害に対する保護者の無理解も問題です。障害に対する支援とは別に、ほかの子どもたちや保護者にも、発達障害を十分に理解してもらうことが大切でしょう。世界の流れは、障害の有無を問わずに一緒に学習する「インクルーシブ教育」が主流になりつつあります。そのためにも、子どもたちや保護者に対して正しい理解を進めることが不可欠です。
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