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自閉症の息子1人で育てる…父親が日記出版
自閉症の息子を男手一つで育てた父親の12年分の子育て日記が、1冊の本にまとまった。息子の自傷行為やパニックに日々直面しながらも、前向きに育児に取り組む父親の姿が共感を呼び、書籍化につながった。
タイトルは「そよ風の手紙 自閉症児りょうまとシングルファーザーの18年」。著者は川崎市在住の新保浩さん(48)=写真=。長男の綾麻りょうまさん(18)が3歳の時、自閉症と診断された。4歳の頃にはパニックを起こして泣き叫びながら暴れたりするように。2001年、綾麻さんが5歳の時、新保さんは妻と離婚。その後は1人で子育てに奮闘してきた。
同年、自閉症児の家族に希望を持ってもらえるホームページ(HP)を作ろうと、綾麻さんとの日常を紹介する「そよ風の手紙」を開設。自閉症児の親らから多くの反響が寄せられ、HPの閲覧数は67万件を超えた。それに応える形で、書籍にまとめることになった。今年3月までにHPに掲載した日記614編のうち、約60編を紹介している。
会話も難しい息子の日々の姿と、息子の気持ちをくみ取ろうと努め、成長を喜ぶ父の姿が描かれている。綾麻さんが14歳で「バイバイ」と言えた時など、「感動は待った年数以上の大きなもの」だったという。
また、新保さんは勤めていた医療関連の会社を昨年退職し、今年4月に一般社団法人「そよ風の手紙」を設立。障害を持つ子どもの母親の交流会などを始めた。
「障害児の親は、外出時のトラブルや人目を恐れ、引きこもる人も多い。この本を読んで、希望を取り戻してもらえたら」と話している。
1333円税別。問い合わせは、マキノ出版(03・3818・3980)へ。
(13年6月24日 読売)
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