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睡眠の質を良くするアミノ酸・グリシンの効果
ありふれたアミノ酸の1つ・グリシン。たいした働きはないと思われていたグリシンですが、じつは睡眠の質を良くする作用があることは分かりました!グッスリ眠って目覚めも爽快に、しかも美肌にもしてくれるグリシンをご紹介します。
執筆者:坪田 聡
更新日:2009年12月09日
ありふれたアミノ酸・グリシン
グリシンは、カニやエビに多く含まれています
私たち人間の体の6割は水分で、2割がタンパク質、残り2割が脂肪などからできています。筋肉や皮膚を形作っているタンパク質は、アミノ酸がいくつか集まって合成されます。
アミノ酸には、自分の体内で作り出せないので食事から取らなければならない必須アミノ酸と、そうでない非必須アミノ酸があります。 グリシン は、非必須アミノ酸の1つです。
グリシンは生物が誕生する前の太古の地球にも存在していたと考えられている、最も古いアミノ酸。また、アミノ酸の中では分子量が最も小さく、体のあちこちでタンパク質の構成成分となっています。グリシンが睡眠の質を良くしてくれることが分かったのは、この「ありふれたもの」だったからです。
偶然に睡眠改善効果を新発見
薬の有効性を科学的に判定するためには、調べたい薬と何の効果もない偽薬(プラセボ)の効果を比べます。偽薬には通常、ブドウ糖や小麦粉などのありふれた素材が使われます。2002年に行われたあるアミノ酸の試験で、偽薬としてグリシンが用いられました。グリシンは体中のどこにでもあるアミノ酸だから、特別な働きはないだろうと思われていたからです。
この試験では、参加者に研究中のアミノ酸、あるいは偽薬のグリシンを毎日飲んでもらいました。その参加者の1人に、普段から休息の状態がよくなく、日中に体のだるさを感じている人がいました。彼は偽薬であるグリシンを飲んでいたのですが、グリシンを飲んだ翌日は体調がよく、体のだるさを感じないことに気づいたのです。そこから、グリシンの睡眠睡眠改善効果に関する研究が始まりました。
グリシンは夜も昼も効果があります
「頭がスッキリしない」「寝ても疲れが取れない」「熟睡感がない」など、日常的に起床時に問題を感じている人を対象に行われた実験があります。就寝前にグリシン3gが含まれた食事、または グリシン が含まれていない食事(対照食)を摂ってもらい、消灯してから深い眠りになるまでの時間を計りました。対照食のグループは60分かかりましたが、グリシンを摂ったグループでは約半分の時間しかかかりませんでした。
目覚めたときの疲労の程度や気分についての調査もあります。 グリシン を摂ると、摂らない場合に比べて起床時の疲労感が少なく、気分が良いという結果でした。これらのことから、睡眠に問題を感じている人はグリシンを眠る前に摂ることで、深くグッスリ眠ることができ、朝の目覚めも爽快になることが分かりました。
日常の睡眠に不満を感じていない人でも、睡眠時間を十分に取れないときには、グリシンを摂っておくと効果があります。普段の75%に睡眠時間を制限したところ、就寝前にグリシンを3g摂ったグループは、翌日の疲労感や眠気、パソコンを使った作業の能率が、 グリシン を摂らなかったグループに比べて明らかに良かったというデータがあります。
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