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G7閉幕、通貨安競争回避を確認へ
2013/5/11 20:22 (2013/5/11 20:42更新)
【エイルズベリー(英国南部)=松尾洋平】英国で開いていた日米欧7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁会議が11日昼(日本時間11日夜)閉幕した。通貨安競争を回避する方針を確認したもようだ。円安の加速で日本の政策に各国の注目が集まるなかで、日本は金融緩和は円安誘導が目的でないことを説明。麻生太郎副総理兼財務相は初日の討議後、記者団に「理解が深まりつつある」と語った。
会議は13-5-10日昼(日本時間同日夜)に初日の討議を始めた。2日目は各国が導入する金融規制をどう調和させるかを議論。財政支出や金融緩和のバランスや銀行部門の安定といった、先進国がとるべきマクロ経済政策全体の枠組みもテーマとなった。共同声明の取りまとめはなく、議長を務めるオズボーン英財務相が一連の議論を総括する見通しだ。
今回のG7会議は円相場が約4年7カ月ぶりに1ドル=102円目前まで下落するなかで開かれた。オズボーン英財務相は10日の討議で、各国の財政・金融政策が「為替レートを目標としない」と明記した2月のG7財務相・中央銀行総裁による共同声明に言及した。
日銀に続き、欧州中央銀行(ECB)やオーストラリア準備銀行などが相次いで金融緩和に踏み切り、通貨安競争につながることを警戒する参加国の空気を映した。
初日の討議内容は世界経済に関する協議。日本は「長く続いたデフレマインドを払拭するため、財政政策と金融政策を同時に、大胆に発動している」(麻生財務相)と説明し、円安誘導を意図した政策運営ではないとの立場を訴えた。
4月18~19日にワシントンで開いた20カ国・地域(G20)財務相・中銀総裁会議は共同声明で日本の政策を「デフレを止め、内需を支えることを意図したもの」と明記した。麻生財務相は「G7でもそのことは特に問題がなかった」と説明。G7会議では通貨安競争を回避するとの原則を確認したうえで、デフレ脱却を目指す日本の状況に理解を示したとみられる。
ただ日本以外の参加国は日本の政策動向に関心を強めている。開幕に先立ち、米国のルー財務長官が日本の金融政策が国内の経済成長を目指したものなのか「注視し続ける」と語るなど、日本が円安誘導に傾かないかを警戒する空気が参加国の間にくすぶる。
初日の討議では、財政の健全化と経済成長の両立についても集中的に議論した。ドイツを中心に先進国は財政再建を進めるべきだとの意見がある一方、米国は景気下支えに一定の財政支出が必要との立場をとる。
結局、財政支出の余裕がある国は成長強化のために支出の拡大も必要との認識を共有すると同時に、中長期的に財政健全化を進めることも再確認した。麻生財務相は「財政健全化と財政出動による景気回復は二律背反ではない」と強調した。
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