ここに掲載している内容は、Y. Watanabeらによる" Morphological defects in native Japanese fir trees around the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant "を元にしており、クリエイティブ・コモンズの下でライセンスされています。
用語説明
※1 モミ
マツ科モミ属の常緑針葉樹。学名はAbies firma。日本に自生するモミ属の中で最も温暖地に生育し、北は秋田県から南は屋久島まで広く分布する。
※2 モミの形態形成
モミは通常、垂直に伸びる1本の主幹を中心に側枝が輪生状に形成される(クリスマスツリーのような形状)。主幹・側枝は、前年に形成された冬芽から通常1年に一度だけ春~夏に伸長し、それぞれの先端部に新たに翌年の冬芽が形成される。冬芽には頂芽と側芽の区別があり、主幹の先端部の中央についた頂芽から当年の主幹(一年生幹)が、頂芽を囲むように配置する側芽から1~数本の当年の側枝が伸長する。
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※3 針葉樹の放射線感受性
針葉樹が一般的に放射線高感受性であることは、アメリカや日本における野外放射線照射施設(ガンマフィールド)を用いて行われた樹木の放射線照射実験や、1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故の事例等から知られている。チェルノブイリ原発事故後の放射能汚染地域においては、ヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris)とドイツトウヒ(Picea abies)の針葉樹2在来種が明瞭な生物学的障害を示したことが報告されている。
※4 対照区
放射線量による影響を調べるため、放射線影響が無いと考えられる程度に空間線量率が低い地点(S4)を対照区として選定した。