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标题:
シナプス形成過程で神経線維が「小さな突起」伸ばし 成熟
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作者:
顾汉现
时间:
2012-11-11 18:12
标题:
シナプス形成過程で神経線維が「小さな突起」伸ばし 成熟
東大と慶大、シナプス形成過程で神経線維が「小さな突起」を伸ばし成熟を促すことを解明
世界初!シナプス形成の可視化で発見した「小さな突起」
~自閉症など脳の発達障害の病態解明へ道~
1.発表者
岡部 繁男(東京大学大学院医学系研究科神経細胞生物学分野 教授)
柚崎 通介*(慶應義塾大学医学部生理学 教授)
*慶應義塾大学医学部生理学 教授の氏名正式漢字表記は添付の関連資料を参照
2.発表のポイント
◆神経細胞同士のつなぎ目(シナプス)が作られる様子を、発達期の小脳で可視化することに、世界で初めて成功しました。
◆シナプスが作られるときに神経線維が「小さな突起」を伸ばすことを発見し、未熟なシナプスが成熟するために「小さな突起」が重要であることを解明しました。さらに、神経線維から分泌されるCbln1(シービーエルエヌ1)という分子と、その受容体(デルタ2受容体とニューレキシン)の相互作用により、この突起が形成されることを明らかにしました。
◆脳の正常な発達の仕組みとその障害の原因解明のためには、シナプスが作られる仕組みを理解することが必要です。今回の研究で得られた知見は、その重要な一歩になると期待されます。
3.発表概要
東京大学大学院医学系研究科の岡部繁男教授・石田綾特任研究員と慶應義塾大学医学部の柚崎通介教授らは、発達期の脳で神経細胞同士がつながる仕組みを解明しました。
神経細胞は「シナプス」(注1)を介して結合し、脳の回路を形成しています。発達期の脳が多彩な機能を獲得するためには、一つの細胞に数百~数百万個のシナプスが正確に作られることが必要といわれています。近年、自閉症などの発達障害や多くの精神疾患の原因が、シナプスの異常であると考えられるようになり、シナプス形成の分子の仕組みを解明するため世界中で精力的な研究がなされています。しかし、どのようにしてシナプスができるのか、その分子の仕組みは不明な点が多く、神経科学の最大の課題となっています。
本研究グループはマウスの神経細胞を用い、運動制御を担う小脳において、シナプスが形成される過程を可視化することに成功しました。その結果、シナプスの形成過程で神経線維から「小さな突起」が伸び、シナプスの成熟を促すことを世界で初めて発見しました。さらに「小さな突起」は、Cbln1(シービーエルエヌ1)(注2)という分泌因子と、デルタ2受容体(注3)、ニューレキシン(注4)の3つのタンパク質の相互作用により形成されることを解明しました。
「小さな突起」を見出した今回の知見は、脳の正常な発達とその障害の原因を解明の重要な一歩となると期待されます。
本研究成果は、科学雑誌「Neuron」(11月8日号)に公開されます。
なお、本研究は、文部科学省脳科学研究戦略推進プログラムの一環として、また、科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業、科学研究費補助金などの助成を受けて行われました。
4.発表内容
<研究の背景>
人間の脳には百億個以上の神経細胞があり、神経細胞同士は「シナプス」という結び目を介してつながり、神経回路網を形成しています。生後発達期の脳は、運動・言語・社会性など多彩な機能を獲得しますが、この過程で個々の神経細胞に数百~数百万個のシナプスが正確に作られることが必要だといわれています。近年、自閉症などの発達障害や多くの精神疾患の原因が、シナプスの異常であると考えられるようになり、シナプス形成の分子の仕組みを解明するため世界中で精力的な研究がなされています。
脳の中でも小脳は、運動学習・記憶を制御し、スポーツや楽器の演奏など、繰り返し練習して技能を習得する上で、欠かすことができない部位です(図1)。ひとの小脳には、プルキンエ細胞-顆粒細胞平行線維間に、2 百万個以上のシナプス(平行線維シナプス)(注5)があり、脳の中で最も多くのシナプスが存在しています。これまでの研究から、プルキンエ細胞がシナプス入力を受ける部分(スパイン)は、平行線維からの信号がなくても、自立的に作られることが知られていました。しかし、平行線維とスパインがつながり、成熟したシナプスがどのようにしてできるのかについては、全く分かっていませんでした。
<研究の内容>
本研究グループは、平行線維シナプスの形成過程を明らかにするために、Cbln1というたんぱく質に着目しました。Cbln1は平行線維から分泌され、平行線維シナプスの形成を強力に誘導する作用を持ちます(図2)。Cbln1を欠損する遺伝子改変マウスでは、平行線維シナプスが通常の5分の1以下に減少しており、重度の歩行障害を呈します。このマウスの小脳に、Cbln1タンパクを注入すると、数時間で平行線維シナプスの形成が一気に起こり、2日後には歩行の異常が正常化するのです。今回はこのCbln1の性質を利用し、シナプス形成の開始時期を制御することで、シナプスが作られる様子を、時系列を追い観察することに成功しました。
まず、マウス小脳から切片を作成し、Cbln1タンパクによりシナプスの形成を誘発し、生きた神経細胞の形の変化を、顕微鏡で捉えました。その結果、シナプスが形成される過程で平行線維から「小さな突起」が伸び、シナプスの成熟を促すことを、世界で初めて発見しました(図3)。
「小さな突起」は伸び縮みしながら、プルキンエ細胞スパインを鞭の様に一時的に取り囲み、平行線維とスパインの接触点にシナプス構成分子が集積するように促すことを見出しました。さらに、発達期の平行線維の微細形態を観察するため、北海道大学・渡辺雅彦教授らと協同し、電子顕微鏡を用いた観察を行いました。その結果、発達期小脳の平行線維には、個体レベルでも「小さな突起」が存在し、シナプス形成と密接に関係することが明らかになりました。また、「小さな突起」が形成されるメカニズムとして、Cbln1とその受容体であるデルタ2受容体とニューレキシンの、3つのタンパク質の相互作用が必要であることが分かりました。
<研究の意義>
脳の正常な発達とその障害の原因を解明するために、シナプスの形成の仕組みを理解することが必須です。今までに多くの研究者が、成熟したシナプスがどのような過程を経て形成されるのか、観察しようと試みてきました。しかし、シナプスの形成はランダムに起こるため、その全貌を追うことは困難であり、大きな課題となっていました。本研究グループは、Cbln1の作用を利用して小脳のシナプス形成を一斉に誘導することで、シナプス形成過程の詳細な観察を世界に先駆けて行うことに成功しました。その結果、「小さな突起」を介した全く新しい仕組みが、シナプスの成熟化に重要な働きを持つことを発見しました。
また、今回の研究から、「小さな突起」の形成にはCbln1の受容体であるニューレキシンが関わることがわかりました。ニューレキシンは、自閉症の病因遺伝子のひとつと考えられています。
「小さな突起」の役割の解明が、脳の発達障害の病態の理解につながる可能性もあり、今後の研究の展開が期待されます。
5.発表雑誌
雑誌名:「Neuron」(11月8日号)
論文タイトル:“Presynaptically released Cbln1 induces dynamic axonal structural changes by interacting with GluD2 during cerebellar synapse formation”
論文タイトル和訳:シナプスの形成過程で、シナプス前部から分泌されるCbln1は、デルタ2受容体との相互作用を介して、軸策のダイナミックな形態変化を引き起こす
著者:Aya Ito-Ishida,Taisuke Miyazaki,Eriko Miura,Keiko Matsuda,Masahiko Watanabe,Michisuke Yuzaki,Shigeo Okabe
7.用語解説
注1)シナプス:神経細胞と神経細胞のつなぎ目。シナプスの前側にある神経細胞からグルタミン酸などの神経伝達物質が放出され、後ろ側の神経細胞がこれを受け取ることによって情報が伝達される。
注2)Cbln1(シービーエルエヌ1):神経細胞が分泌するたんぱく質。免疫系において働く「補体」と似た分子であり、同じファミリーに属する分子(C1qファミリー分子)は、炎症反応、糖代謝、冬眠など多彩な機能を持つ。近年Cbln1は、シナプス後部に存在するデルタ2受容体と、シナプス前部に存在するニューレキシンに結合し、これら3つのたんぱく質が複合体を作り、相互に作用することにより平行線維シナプスの形態形成を制御することが明らかにされている。
注3)デルタ2型グルタミン酸受容体(デルタ2受容体):グルタミン酸受容体は、シナプス前部から放出されるグルタミン酸を受け取るために神経細胞が備える細胞膜表面に存在するたんぱく質。これを介して神経情報が伝えられる。デルタ2受容体はグルタミン酸受容体ファミリーの一員であり、小脳のプルキンエ細胞にほぼ選択的に発現し、シナプスの形態形成や運動記憶・学習を制御している。
注4)ニューレキシン:シナプス前終末に存在する細胞接着分子たんぱく質。小脳以外の脳部位にも広く存在し、Cbln1の他にニューロリジンというシナプス後部の細胞接着分子と結合することが知られている。自閉症などの発達障害への関与が示唆されている。
注5)プルキンエ細胞-顆粒細胞平行線維シナプス(平行線維シナプス):小脳顆粒細胞とプルキンエ細胞によって形成された、小脳神経回路の要衝を担う興奮性シナプス。
http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0323581_02.pdf
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